現在、世界には約18億人のイスラム教徒がいるといわれ、キリスト教に次いで大きな宗教となっています。日本に住むイスラム教徒も増加しており、イスラム教に対する正しい知識と理解が必要です。「イスラム」とは、アラビア語で「神に帰依すること」という意味で、「イスラムの五行」や信仰的な義務があることで知られています。1980年以降、多くの外国人が仕事や勉強のために来日しました。当時、イスラム教徒が日本に住むにはいくつか問題がありました。1つ目は、「ハラールフード」と言われる、宗教上許可されている食べ物を入手するのが困難なことでした。2つ目は、祈りを捧げるモスクや礼拝室が少ないという問題がありました。1980年代にはモスクは少数で、空港や駅などの公用施設にも礼拝室はありませんでした。しかし今では、ハラールのお店はたくさん見られるようになり、モスクも全国に約100カ所程あり、羽田空港や大きなデパートなどにも礼拝室が設けられるようになりました。そのため、子供たちもモスクで宗教教育を受けられるようになったのです。東洋大学の学生たちも、モスクを訪れて食事を共にしたり、交流を深めたりしています。2011年の東日本大震災では、日本在住のイスラム教徒の人々が、福島県を幾度となく訪れて物資を提供したり、避難所にいる被災者のために毎日、温かい食事を用意したりしました。このように日本に住むイスラム教徒の人々も、日本社会の一員として生活し、相互理解を深めているのです。

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子島 進教授国際学部 国際地域学科

  • 専門:文化人類学、イスラームのNGO
  • 掲載内容は、取材当時のものです